ボトルの混濁と沈殿物 [醸造学]
時々、買ったワインに何か沈殿しているのを見た事はないでしょうか。
時には濁っていたり。。
ボトリング時は何もなかったのに、店頭に並ぶ頃にボトル内で化学変化がおきて
沈殿物ができたり混濁したりする時があるんです。
そこで今回は、ワインボトルの混濁、沈殿物について代表的なものを上げておきます。
1、鉄の沈殿 (Casse ferrique)
赤の場合は鉄がポリフェノールの結合して酸化し、赤紫色の沈殿物
白の場合は鉄がリン酸と結合して酸化し、白色の沈殿物が発生する。
一般的にワイン中の鉄は2〜5mgである。これが10mg/l以上存在してしまうと
低温状況下などで起こってしまう。
処理方法:亜硫酸、アラビアンゴム、アスコルビン酸、カゼインによるコラージュ
*特に多い場合は、赤の場合はフィチン酸カルシウム(pytate de calcium)、
白にはフェロシアン化カリウム(ferrocyanure de K)を使用する。
2、銅の沈殿 (Casse cuivrique)
これは特に白ワインに起こる現象。鉄混濁とは逆に還元下で起こる現象なので
空気の遮断、太陽光などによるボトル温度の上昇、フリー亜硫酸、タンパク質などが
原因。銅が0.5mg/l以上存在するとリスクが高い。
処理方法:ベントナイト、アラビアンゴム、NaSやKSの後に清澄作業で除去。
3、酒石沈殿 (Precipitation tartrique)
この現象はよく耳にしたり見た事がある方も多いでしょう。
これは酒石酸カリウムor酒石酸カルシウムの結晶。それを促す要因としては
アルコール度上昇、温度低下、PH、酒石酸とカリウム含有量、コロイド
熟成(タンニンやアンとシアニンの上昇)などが上げられる。
処理方法 (冷却法によるものは3種類)
・長期冷却法 (stabilisation longue)
8〜10日間ワインを0度以下に冷却させ、結晶化させて除去する。
欠点は酸化、色素が落ちてしまう。
・コンタクト冷却法 (procede par contact)
酒石酸水素カリウム(HTK)を加える事により、0度で4時間の冷却で済む方法。
・連続冷却法 (procede continu)
機械によって異なるが1〜2時間くらいで終わる。
4、タンパク混濁 (casse proteique)
タンニンと結合して白く沈殿する。ベントナイトによるコラージュで処理する。
他にも微生物によるものや、時には澱(ブドウなどの残骸、土)なども入っている事もある。
このようにボトル内の混濁・沈殿と言ってもいろいろあるのです。
なのでボトリング前に必ず上記のような成分量を全て調べてからリスクがないかを確かめ、もしも一定量より多い場合には対処しなければなりません。
ボトリング前に予測テストを行う機械もある。
チューブの中に処理したワインなどを入れて、水を敷き、設定温度にして指定時間
待って反応を見る。
これらの混濁、沈殿を良しとするかしないかはそれぞれワインメーカーさんの判断。
銅や鉄などは醸造器具や機械由来なので防ぐ方法はいくらでもある。
ただ、酒石沈殿に関しては別に目をつぶっても良いのではないかと個人的に思う。
体にも無害だし、わざわざ機械に通してワインにストレスをためるよりは
そのままでも良いように思う。
それに熟成が進めば進むほど出来てしますものですから。
時には濁っていたり。。
ボトリング時は何もなかったのに、店頭に並ぶ頃にボトル内で化学変化がおきて
沈殿物ができたり混濁したりする時があるんです。
そこで今回は、ワインボトルの混濁、沈殿物について代表的なものを上げておきます。
1、鉄の沈殿 (Casse ferrique)
赤の場合は鉄がポリフェノールの結合して酸化し、赤紫色の沈殿物
白の場合は鉄がリン酸と結合して酸化し、白色の沈殿物が発生する。
一般的にワイン中の鉄は2〜5mgである。これが10mg/l以上存在してしまうと
低温状況下などで起こってしまう。
処理方法:亜硫酸、アラビアンゴム、アスコルビン酸、カゼインによるコラージュ
*特に多い場合は、赤の場合はフィチン酸カルシウム(pytate de calcium)、
白にはフェロシアン化カリウム(ferrocyanure de K)を使用する。
2、銅の沈殿 (Casse cuivrique)
これは特に白ワインに起こる現象。鉄混濁とは逆に還元下で起こる現象なので
空気の遮断、太陽光などによるボトル温度の上昇、フリー亜硫酸、タンパク質などが
原因。銅が0.5mg/l以上存在するとリスクが高い。
処理方法:ベントナイト、アラビアンゴム、NaSやKSの後に清澄作業で除去。
3、酒石沈殿 (Precipitation tartrique)
この現象はよく耳にしたり見た事がある方も多いでしょう。
これは酒石酸カリウムor酒石酸カルシウムの結晶。それを促す要因としては
アルコール度上昇、温度低下、PH、酒石酸とカリウム含有量、コロイド
熟成(タンニンやアンとシアニンの上昇)などが上げられる。
処理方法 (冷却法によるものは3種類)
・長期冷却法 (stabilisation longue)
8〜10日間ワインを0度以下に冷却させ、結晶化させて除去する。
欠点は酸化、色素が落ちてしまう。
・コンタクト冷却法 (procede par contact)
酒石酸水素カリウム(HTK)を加える事により、0度で4時間の冷却で済む方法。
・連続冷却法 (procede continu)
機械によって異なるが1〜2時間くらいで終わる。
4、タンパク混濁 (casse proteique)
タンニンと結合して白く沈殿する。ベントナイトによるコラージュで処理する。
他にも微生物によるものや、時には澱(ブドウなどの残骸、土)なども入っている事もある。
このようにボトル内の混濁・沈殿と言ってもいろいろあるのです。
なのでボトリング前に必ず上記のような成分量を全て調べてからリスクがないかを確かめ、もしも一定量より多い場合には対処しなければなりません。
ボトリング前に予測テストを行う機械もある。
チューブの中に処理したワインなどを入れて、水を敷き、設定温度にして指定時間
待って反応を見る。
これらの混濁、沈殿を良しとするかしないかはそれぞれワインメーカーさんの判断。
銅や鉄などは醸造器具や機械由来なので防ぐ方法はいくらでもある。
ただ、酒石沈殿に関しては別に目をつぶっても良いのではないかと個人的に思う。
体にも無害だし、わざわざ機械に通してワインにストレスをためるよりは
そのままでも良いように思う。
それに熟成が進めば進むほど出来てしますものですから。
2012-05-27 01:43
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コメント(2)
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これまで沈殿のことは気にしてなかったです。ワインにいろんな化学反応が関係するのは、不思議な感じがしますね。作り手のさまざまな苦労が垣間見えて面白いです。
by Ryosuke (2012-05-30 04:58)
ワインの濁りや沈殿は「澱」と一言で片付けられる事が多いですが、いろいろな原因が考えられるんです。醸造所でのボトリング時点でしっかり清澄されていたのなら、消費者の手元にも同じ状態である必要があり、このような試験、対策を練るのはとても大事な事なんです。
by taskbon (2012-05-30 09:39)