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清澄作業(フィルター編) [醸造学]

前回に引き続き清澄作業のフィルター処理について。

ワイン醸造におけるフィルターとは、
ワインあるいは果汁をフィルターに通す事により特定の微粒子を取り除く作業である。
つまり清澄目的だけでなく、濃縮目的にも用いられるものもある。

ワインに含まれる粒子といっても様々な種類、そして大きさが異なる。
 ・particules sedimentation(沈殿物)←0.01〜10mm
 ・levures (酵母)←1〜10 µm
 ・bactéries (バクテリア)←0,1〜1µm
 ・substances colloidales(コロイド粒子)←1〜10μm
 ・substances soluble(水に溶けている微粒子)←0.05〜5nm
※1mm=1000μm

除きたい対象物によって使われるフィルターが異なる。

ワイン濾過のフィルターは、
荒濾過(filtration degrossissante)、仕上げ濾過(filtration fin)、無菌濾過(filtration sterilisante)と段階に分けられる。

1.filtration avec les plaques/les modules lenticulaires/les cartouche
・filtration sur plaques (板状タイプ)
  セルロース繊維やケイ藻土でできた四角いシート状のフィルターを用いた濾過。
  シートの目の粗さを変えることで、荒濾過から仕上げ濾過まで行うことができるが
  主に瓶詰め前の濾過で使われる事が多い。
・filtration sur modules lenticulaires (レンズ状ろ紙のタイプ)
・filtration sur cartouche (筒状ろ紙タイプ)

2.filtration alluvionnage (ケイ藻土濾過器)
 ケイ藻土を使って層を作り減圧して濾過するタイプ。
 ケイ藻土には、kieselguhr naturel、kieselguhr calcine、kieselguhr fritteと
 粗さが異なる3種類がある。
 連続式真空回転ろ過機(filtre rotatif sous vide)もこのケイ藻土濾過器の一種で
 目詰まりおきにくいので、澱などの濁った液を濾過するために使われる。
 
3.filtration tangentielle (クロス式フィルター)
 平行方向に液を流し、垂直方向に圧力をかけることで連続的に濾過を行う。

4.filtration sur membrane (メンブランフィルター)
・microfiltration (ミクロフィルター)
  酵母や乳酸菌などのバクテリアを取り除ける。
  CIMG5194.jpg
  
・ultrafiltraion (ウルトラフィルター)
  コロイド粒子(ウィルスなど)タンパク質やタンニン、色素の除去可能。
  CIMG5196.jpg
  
・osmose inverse (逆浸透膜)
  アルコール度の調整に使われる。主にアルコールの低減(エタノールの抜く)。
  
  テスト用装置
  CIMG5191.jpg

・dialyse (電気透析)
  ボトリング後の酒石沈殿をなくすため酒石酸に結合するカリウムを取り除く。
  そうする事により結合せずに酒石酸としてワイン中に残る。
  CIMG5202.jpg

フィルターに通されたワインはこうなる↓
  CIMG5200.jpg

フィルターはワインの清澄度、安全性を高めるが同時にフェノール類、エステル
香り成分なども飛んでしまう恐れがある。
かといってしないと劣化のリスクも高まってしまう。
コラージュと同様にフィルターも使用する際は熟考が必要な大事な作業である。

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Macogy

なるほど、オリがあるのは「劣化リスク」ですか。フィルターにあまり通されてないすこし濁った地ワインは劣化しやすいから、悪酔いするのでしょうね。
by Macogy (2012-05-05 21:08) 

taskbon

>macogyさん
そうですね。
フィルター無しのワインは、決して劣化ワインではなく、保存環境などで変化しやすいので細心の注意をして保管しなくてはなりません。
ちなみに悪酔いとの関連性は分かりません…。
by taskbon (2012-05-06 02:42) 

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