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清澄作業 (コラージュ編) [醸造学]

よくネットや酒屋でのワインタグの説明欄に
“ノンコラージュ!” “ノンフィルター!”と書かれているのを
見た事がある方もいるのではないだろうか。

これらはワインを清澄させるための方法であり
その清澄作業を行っていないという事。

まず清澄作業と言って思い浮かぶのが「澱引き」だろう。
しかし、これだけでは手間と時間そして限界もある。
そこで、出て来る作業が「フィルター濾過」と「コラージュ」なのだ。

いつからかワインは透明度が高い(澄んでいるという事)ものが良いとされてきた。

沈殿物やワインが濁っているだけで
そのワインのイメージが悪くなってしまう傾向がある。
もちろん、中には微生物的あるいは化学的に不安定で(反応して)
劣化しやすいもしくはしているワインもある。

前回の章の“日本酒”も絞り立ては色が着いているものだが
市場で出回る頃には無色透明が一般的である。
これもしっかりと清澄作業を行っているからだ。

大半のワイナリーが、このコラージュ作業を行い
瓶詰め前にフィルターに通してボトリングをしている。

もちろん清澄剤やフィルターを使わずに、ワインが澄んでいて
且つ安定高なワインができればこれらの作業は全く必要ない!
現に前述した通りノンコラージュ、ノンフィルターのワインも市場にある。

現在でも清澄方法、有無については様々な議論がなされている。

今回は、この中でコラージュについて書こうと思う。

フランス語で“collage”。これは“糊付け”を意味する言葉。
清澄剤によって不純物質を結合させ、それらが沈殿してから上澄みを取る作業。
この作業は、ワインの清澄と微生物的化学的安定化の向上という大きな目的がある。

その糊となる清澄剤はいくつも種類がある。

・bentonites(ベントナイト)
 CIMG3488.jpg
 
 粘土の一種。白ワイン、もしくはロゼに使用される。
 ロゼの場合、色素を多少取ってしまう恐れもある。使用量は40〜80g/hl。
 利点は酸化ポリフェノール、銅やタンパクの混濁減少が見込める。酵素も除去される。

・gelatines(ゼラチン)
 CIMG3501.jpg 

 これは動物の骨や皮膚に含まれるコラーゲンに含まれるタンパク質。
 赤ワインに使われるが、特に渋み(タンニン)の強いワインなどに
 使うと滑らかに仕上がる。ワインの安定化にも良い。
 使用量としてはだいたい5〜15g/hl。コラージュ期間は5〜6日。
 白ワインにはsol de silice(珪藻土)と併用して使う事もある。

・alubumines d'oeuf(卵アルブミン)、blanc d'oeuf(卵白)
 卵アルブミンは粉状になっており、水で溶かして、数時間おいてから使用する。
 (5〜15g/hl)赤やロゼにも時々使われる。渋みも除去される。
 新鮮な卵白をそのまま使用するシャトーもある。(シャトー・ムートンetc)
 1つの樽につき3〜8個の卵白を使用。
 これも塩化ナトリウムが入った水と一緒に別容器で混ぜてからぶち込む。
 赤ワインに使用される事が多く、使用過度によるリスクがない。

・colle de poisson(魚由来の清澄剤)
 魚の浮き袋から抽出される物質。タンニンの少ない白ワインの清澄作業に最適と
 されている。使用量1〜3g/hl。白にベントナイトと併用して使われる事が多い。
 タンニン、ベントナイト、珪藻土と併用する事もある。

・caseine(カゼイン)
 牛乳から抽出されるタンパク質。粉末になっていて水で10倍希釈させて混ぜる。
 カゼインの利点として酸化沈殿の原因ともなる鉄分、欠陥臭の除去してくれるが
 フルーティーな香りも飛んでしまう恐れはある。白ワインに特に効果的。
 赤はゼラチンに比べると効果は低い。使用量は5〜20g/hl。
 よくベントナイトと併用して使われる。酸化の予防にもなる。
 アレルギーのある消費者のため表記しなければならない

・PVPP(粒状ポリビニルポリピロリドン)
 酸化の治療、予防に良いので酸化気味のワインに使うのも良し。
 渋みの除去も期待できる。使用量:15〜30g/l

・charbons(活性炭)
 日本酒でよく使われる清澄剤。色取りに最適。欠陥臭、味の除去。
 使用過度に超注意!!ワインではあまり主流ではない。

それ以外にもまだいろいろと清澄剤として使われるものが沢山あるが
清澄剤として使われるものは動物性タンパク質やごく自然に存在する無機物。
人間の健康に影響するものは少ない。そのため他の添加作業とはわけが違う。
それに最終的には沈殿し処理するのですから。
ではなぜこの作業が敬遠されがちなのか。
それは多少なりともワインの良い特徴(成分など)が、この作業によって取り除かれるからだ。
使用有無、方法、量については十分な熟考が必要だ。

なお清澄作業の写真は以前に載せたのでこちらをどうぞご覧下さい。
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コメント 1

NO NAME

いつも、非常に興味深く読ませていただいています。
清澄作業にこんなに種類があるとは知りませんでした。
ただ、日々ワインを飲む生活の中で少し疑問があるので
差し支えなければ教えてください。
上記の清澄作業において添加物等を使用しているのに
日本国内のラベルに記載されていないのでしょうか?

by NO NAME (2012-08-24 11:34) 

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